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特攻出撃直前に終戦を迎えた作家 島尾敏雄「出発は遂に訪れず」(新潮文庫)(1)

9月 25th, 2008

「死の棘日記」「死の棘」で紹介した島尾敏雄。 奄美群島加計呂島に特攻隊長として赴任、1945年8月13日に出撃準備命令が下るが、発信命令がないまま15日を迎える。 そのときのことを書いた小説2編を読んだ(この短編集には9編収められている)。 「島の果て」 著者は島の娘と恋におちて、その娘が「死の棘日記」の狂える妻となる。 この小説はその二人の出撃を前にした交情を描く。むかし、世界中が戦争をしていいた頃のお話なのですがー トエは薔薇の中に住んでいたといってもよかったのです。童話のような書き方だ。 朔中尉(島尾、軍務以外の行動をとるときは中尉さんと書かれている)は、島の部落の人々のことが気になって、深夜、本部を抜け出す。山の端の向こうの青白い月夜の部落には真珠を飲んだ冷たい魚がまな板の上に死んだふりをして横たわっているのだ。私は是非ともその様子を見届けてこなければならない。寝ずの番に気どって云った頭目(中尉さん)。 横たわっていたのがトエだった。 毎晩トエをおとなって、にぎやかな羽子板星が東の空に見え初め、あけがたの金星が輝きだすと、中尉さんは

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