中村彰彦・山内昌之『黒船以降 政治家と官僚の条件』(中公文庫)の書評。幕末維新の舞台裏を人物中心に世界史の視野から冷静冷徹冷淡に論評。水戸天狗党の悲劇、西郷隆盛の陰謀、「一会桑」の悲喜劇など一気に読ませる。 あまりに面白いので休日に半日を費やして読了した。 単に幕末維新の歴史の知識だけなら、百科事典講釈師のような物知りも沢山いるが、この対談は人物評が現代的で、政治家として官僚としての力量を問う通信簿的な作業でもあり、ことごとくがリアリスティックなのである。 しかも幕末維新を、本筋を外さないで不思議な逸話で溢れさせ、しかし歴史観の骨髄をしっかり守っている。 経済の視野から薩長と会津を比較してみると、京都守護職を越前の松平春嶽から押しつけられた会津の松平容保は、財政的艱難辛苦に耐えなければならず、藩士1000名の京と駐留経費の捻出は並大抵ではなかった。京都は島原の遊郭で遊ぶカネがなく、だから会津武士は京都人から嫌われ、薩長はすかれた。 なぜか。長州は竹島経由で、薩摩は沖縄を梃子に「密輸」をやっていて資金が潤沢、最新鋭の軍艦も鉄砲も買えた。中村彰彦によれば加賀前
黒船以降 政治家と官僚の条件 宮崎正弘
2月 14th, 2009
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