「黒澤明自身が見た夢」をもとに、8つの物語のオムニバス形式で綴った映画。 よく言われることだが、「他人が見た夢の話をされることほど苦痛なことはない」のである。よっぽど面白いか、話が上手な人でないかぎりは。 何しろ夢なので、起承転結も何もあったものではなく、話の流れがメチャクチャで整合性などない場合が多い。さらには、「本人の中にはイメージが残っているが、それを他者に伝えきれなくて説明がグチャグチャになる」「頭の中のビジュアルイメージを言葉に変換しきれない」といった問題もある。 しかしその中からインパクトのある題材を選びぬいて、力のあるクリエイターが作品に連結させると、時に独特の浮遊感・非現実感・不条理感・ブツ切り感が効果的に作用して、とてつもない名作が生まれる場合もある。 漱石の「夢十夜」などがその例だろう。 で、この「夢」についても、最初からストーリー整合性の枠など取っ払って、不条理に溢れる「イメージの洪水」に身を委ねよう…というつもりで見たのだけど、ちょっと肩すかしだった。 その理由の一つは、「話としてそこそこ整合性が立っていて(思想や主張はむしろ、他の作品よりもストレートでうる
「夢」(1990年)
2月 26th, 2009
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